ブログ金沢城と兼六園日記

加賀藩の美意識?

2014-09-30

先日アップした、下の写真を見た人から、橋爪門続櫓と橋爪門の屋根の色が違うのはなぜかという質問があったので、説明したいと思います。

金沢城の屋根瓦は、普通の焼き瓦と異なり、木型の上に厚さ1.8mmの鉛の板を巻いた、鉛瓦というものを使用しています。

その鉛瓦は葺いた当時は文字通り鉛色をしているのですが、年月を経て風雪にさらされていくうちに、次第に白っぽく変色し、海鼠塀と一体となった優美な姿を醸し出すようになるのです。

 

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奥の続櫓と手前の橋爪門では、明らかに屋根の色が異なる。

 

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鉛瓦を屋根に葺いているところ

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同鉛瓦を葺いているところ

 

鉛瓦を使った理由は、美観上良いからというものの他に、戦時に鉛を溶かして鉄砲の玉にする、屋根を軽くする、など諸説あり、本当のところははっきりしていませんが、見た目を重視する金沢の気質を思うと、美観上という理由も十分有りかな、と思っています。

ちなみに、ある南の方の市町が、金沢城で見た鉛瓦の美しさに惚れ込んで、公共施設の屋根に鉛を葺いたところ、白くならずに、茶色く変色してしまったそうです。金沢の気候風土なども微妙に影響しているのかもしれません。

 

美観を意識したもう一つの例を挙げると、下の写真は、五十間長屋の三の丸側の外観ですが、外を見張る際になるべく死角が出来ないように、窓の位置が上下で交互に並んでいます。

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窓の位置が1階と2階で交互に設置されている

 

一方で、同じ五十間長屋の二の丸御殿側は、下の写真のように、見た目を優先して、窓の位置が揃っているのです。

こんな所にも、加賀藩の美意識の一端が窺えます。

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二の丸御殿側は、窓の位置は1階と2階で揃っている。